脊椎・脊髄疾患でのカギ穴手術

当院では、脊椎・脊髄疾患の手術において、カギ穴手術を採用し治療を行っています。
従来の首の後ろから脊柱管を広げる椎弓形成術では、縦に15〜20cmの大きな手術痕が残ることがあります。しかし、カギ穴手術では皮膚のしわに沿って横に3cmほどの切開で手術を行うため、「手術後の傷を目立たなくしたい」という患者様の要望に応えられます。また剥離範囲が少ないため、術後疼痛が少なく、長期的にも脊柱のアライメント（バランス）が保たれます。

後縦靭帯骨化症(OPLL)という難病に対して、多くの医療機関では首の後ろから椎弓形成術またはボルトスクリューを多数打ち込んで首を動かなくする固定手術、首の前からは椎体を取り除き、腸骨を移植したり、金属に置き換えたりする固定手術を行っています。ただ、それでは頸椎の可動性が大きく失われ、長期的にもOPLLの増大、アライメント（バランス）不良、隣接椎間の変性が加速され、再発を引き起こす可能性があります。
しかし、カギ穴手術では、術後の痛みも少なく、回復も早いです。また椎間板を温存しながら治療が可能でかつ固定手術ではないため、長期的にも可動性が保たれ、バランスも維持されます。特に前方のカギ穴手術では、OPLLを直接切除できるため、再発が限りなく低いです。

このように、カギ穴手術は低侵襲性や機能の保持など多くの利点があり、患者様にとって大きなメリットがある治療法と言えます。